FOR NO ONE

夜が明け、君の心は痛む。彼女の、やさしい言葉が、まだ、あたりに消え残っている。彼女は、目を覚まし、化粧を始める。自分のペースで、ゆっくりと、急ぐことは、ない。君は、家に残り、彼女は、出ていく。彼女は言う、ずいぶん前に、知っていた人だけど、もういないわ。夜が明け、君の心は痛む。彼女の言葉で、頭がいっぱいに、なる時が来るだろう。彼女の瞳には、何も映っていない。誰のためともなく、流した涙の影に、愛の気配は、見当たらない。何年も続くはずの、愛だったのに。